人間の体には全長約9万kmもの血管が張り巡らされており、全身に酸素や栄養を届けるという非常に重要な役割を果たしています。これが詰まってしまうと、脳や心臓など重要な臓器に栄養が届かず、最悪の場合死に至ることもあります。
ただし、血管が突然詰まることは少なく、多くの場合は徐々に詰まり始め、その過程で体にはさまざまな異変が現れます。これにいち早く気づければ、命を守ることが可能になります。
特に注意すべき血管の場所とその兆候
今回は、脳・心臓・足の血管に絞り、詰まりかけたときの「危険なサイン」について紹介します。
● 脳の血管が詰まる寸前に現れる症状(=脳梗塞の初期症状)
1.顔のゆがみ
・笑顔を作ると顔の左右で差が出る
・片方の口角が上がらない、水がこぼれる
・手足の力が入らない
・片側だけ動かしづらい、まっすぐ歩けない
・片手だけ力が入らない「バレー徴候」で確認できる
※目をつぶって両腕を手のひらを上にして前に伸ばして30秒キープできない→バレー兆候かも
2.言葉の障害
・ろれつが回らない、「パタカ」の発音がしづらい
・急に話せなくなる、言葉が理解できない
3.目の異常
・視界の半分が見えない(左右どちらか)
・物が二重に見える
・一時的に片目が真っ暗になる(※放置厳禁)
4.感覚の異常
・片側だけ温度や触感がわかりにくくなる
・突然の感覚変化は特に危険
5.めまい・吐き気
・突然の激しいめまい、ふらつき、嘔吐
・小脳の血流障害で発生することがある
特に重要な3つの症状:FASTを覚えよう
アメリカ脳卒中協会の合言葉「FAST」は、脳梗塞の初期症状を示すキーワードです。
・F(Face):顔の歪み
・A(Arm):腕の力が入らない
・S(Speech):言葉がうまく出ない
・T(Time):発症時間を記録しておく
このうち1つでも当てはまれば、70%以上の確率で脳卒中・脳梗塞の可能性があるとされます。
一時的な症状でも油断禁物:TIA(一過性脳虚血発作)
数分で回復してしまう一時的な症状(片手のしびれ、短時間の視野異常など)も「つまる寸前のサイン」の場合があります。これは「TIA」と呼ばれ、脳梗塞の前兆として非常に危険です。
まとめ:こんな症状があったらすぐ病院へ!
・顔の歪み、片側の手足の麻痺、言語障害は要注意
・一時的に改善しても放置せず病院へ
・「FAST」を覚えて、命を守る行動を