① 歯周病菌が心臓に悪影響を与える
歯周病の原因菌「ポルフィロモナス・ジンジバリス」は歯茎から血管を通じて心臓に侵入し、心臓の電気信号の通り道を繊維化させて不整脈(心房細動)を引き起こすことが、広島大学の研究で明らかにされた。感染したマウスでは、不整脈の発生率が6倍に増加した。
② 歯周病菌は認知症や糖尿病、がんのリスクも高める
歯周病菌が多いと、認知機能の低下やアルツハイマー型認知症のリスクが高まる傾向がある。さらに、歯周病がインスリン抵抗性を高めて糖尿病の発症リスクを4倍にするほか、最近ではすい臓がんや大腸がんとの関連も指摘されており、全身疾患と深く関係している。
③ 毎日の口腔ケアが将来の健康を守るカギ
歯周病は予防・改善が可能な病気であり、正しい歯磨きやフロス、定期的な歯科受診を行うことで心臓病・糖尿病・認知症・がんのリスクを下げることができる。口腔ケアは「全身の健康への投資」として非常に重要だと結論づけられている。
◎歯周病菌との関連が示唆されている主な疾患
🧠 神経系疾患
・アルツハイマー病
・歯周病菌(特にP. gingivalis)の毒素が脳に到達し、神経炎症やアミロイドβ沈着に関与するとされる。
❤️ 循環器疾患
・動脈硬化
・心筋梗塞
・脳梗塞
・心内膜炎
・歯周病菌が血流を通じて血管や心臓に影響を及ぼす可能性がある。
🫁 呼吸器疾患
・誤嚥性肺炎
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
・高齢者などで、口腔内細菌が気道に入り感染の原因となる。
🩸 代謝疾患
・糖尿病(特に2型)
・歯周病がインスリン抵抗性を悪化させ、糖尿病の悪化因子となる。
・糖尿病もまた歯周病のリスク因子であり、相互関係がある。
♀ 妊娠関連疾患
・早産
・低体重児出産
・歯周病による炎症性サイトカインが胎盤に影響を及ぼすと考えられている。
🦴 骨関連疾患
・骨粗鬆症
・骨代謝異常との関係が示唆されており、歯槽骨吸収が進行することがある。
🧬 その他の疾患
・関節リウマチ
・P. gingivalisが抗CCP抗体産生の誘因になる可能性。
・メタボリックシンドローム
・慢性腎疾患
・がん(特に膵がん、口腔がん、食道がんなど)