慢性痛(まんせいつう)とは、
・3か月以上続く痛みのこと。
・最初はケガや炎症などが原因だけど、原因がなくなっても痛みが残ることが多い。
・神経が敏感になって、必要以上に「痛い」と感じてしまう体になっている。
・ストレスや不安などの心の状態や、仕事・家庭などの社会的なことも関係してくる。
🧠 慢性痛が続く理由(体の仕組みから見た場合)
① 末梢感作(まっしょうかんさ)
・ケガや炎症があると、その周りの「痛みセンサー」が敏感になる。
・普通なら痛くない触れ方でも「痛い」と感じてしまう。
② 中枢感作(ちゅうすうかんさ)
・脳や脊髄(せきずい)にある「痛みを感じる回路」が敏感になってしまう。
・ケガはもう治っているのに、「痛みの記憶」だけが残っている状態。
・脳の一部が変化して、痛みを強く感じ続けてしまう。
③ 神経のクセ(神経可塑性/しんけいかそせい)
・神経は「クセ」がつきやすい。
・痛みが長引くと、痛みを感じやすい体のクセができてしまう。
④ 心と社会の影響(バイオ・サイコ・ソーシャルモデル)
・不安やストレス、人間関係の悩みなども、痛みを強める原因に。
・「痛み → 動けない → 不安・落ち込み → さらに痛い」という悪循環が起こりやすい。
🔧 痛みをやわらげる方法(体の仕組みに基づいて)
1. 🧠 「痛みの再教育」
・痛みは「危険を知らせるアラーム」だけど、誤作動することもある。
・「もう危険じゃないよ」と脳に教えなおす。
例:
・痛みの仕組みを説明して安心させる(痛み教育)
・鏡を使ったリハビリ(鏡療法)
・痛くない動きを少しずつ行う
2. 🧘♂️ リラックス神経(副交感神経)を高める
・痛みで体がずっと緊張していると、余計に痛くなる。
・「リラックス神経(パラシンパティック)」を活性化させて、体をゆるめる。
例:
・腹式呼吸・深呼吸
・ゆっくりしたストレッチ
・瞑想やマインドフルネス
3. 🏃♀️ 少しずつ動かすリハビリ
・脳に「動いても大丈夫」と覚えさせるために、少しずつ運動する。
例:
・動いても痛みが出ない範囲で運動(グレーデッドエクササイズ)
・関節の動きをスムーズにする運動
・バランスよく筋肉を使うようにする
4. ✋ 「体の地図」を整える
・脳の中には「体のどこがどこか」の地図がある。
・痛みが長く続くとこの地図がぼやけて、変な動きや違和感が出る。
・触覚や動きで、体の感覚をはっきりさせる。
例:
・肌へのやさしい刺激(ブラシ・温冷刺激)
・指を使った細かい動き(足指グーパーなど)
5. 🔍 体のチェック(解剖学の視点から)
・筋肉・関節・神経のどこに原因があるのか、しっかり評価する。
見るポイント:
・神経の通り道に沿った痛みやしびれがあるか
・筋肉のコリやトリガーポイントがあるか
・姿勢や動きに左右差があるか
✅ まとめ:どうやって慢性痛を改善するか?
見る場所 方法
筋肉・関節・神経(末梢) / ストレッチ・筋膜リリース・筋トレなど
脳・神経の働き(中枢) / 痛みの教育・イメージ療法・深呼吸
体全体と心(全身) / 少しずつ動かす・安心できる環境づくり