酪酸菌は本当に大腸がんの原因なの?

2025年10月25日 15:18

1. ネットで広まった噂

最近、「酪酸菌が大腸がんの原因になる」という話がSNSなどで広まっています。
しかし、これはまったくの誤情報です。

2. 酪酸菌とは?

酪酸菌は腸の中にいる「善玉菌」の一種で、
短鎖脂肪酸のひとつである「酪酸」を作り出す善玉菌です。

酪酸には以下のような働きがあります。

 ・大腸の細胞のエネルギー源になる

 ・腸の動きを助けて便秘を防ぐ

 ・がん細胞の増殖を抑える(アポトーシスを促す)

つまり、酪酸菌は腸を健康に保つ良い菌です。

3. 誤解のもとになった菌「フソバクテリウム・ヌクレアタム」

「酪酸菌ががんの原因」と誤解されたのは、
フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)という菌の存在が関係しています。

この菌は口の中にいる歯周病菌の一種で、唾液などと一緒に腸に届くことがあります。
そして、この菌が大腸がんの発生や進行に関係していることは科学的に確認されています。

ただし重要なのは、
このフソバクテリウムは「確かに酪酸を作る性質を持っている」が善玉菌ではない
「酪酸を作る=酪酸菌=がんの原因」という誤った結びつけが広まってしまったということです。

4. フソバクテリウムが大腸がんに関わる理由

フソバクテリウムが大腸がんに関与するのは、酪酸ではなく次の3つのメカニズムによります。

1.大腸の細胞にくっついて遺伝子の働きを乱す
 → 細胞ががん化しやすくなる。

2.免疫の働きを弱める
 → がん細胞が免疫から逃れやすくなる。

3.腸内に炎症を起こしやすくする
 → 長引く炎症ががん発生の原因になる。

つまり、「酪酸を作るから」ではなく、「菌の性質そのもの」が問題なのです。

5. 正しい知識:酪酸菌は大腸を守る

酪酸菌が作る「酪酸」は、

 ・腸の粘膜を修復

 ・便秘を改善

 ・がん細胞の増殖を抑制
といった働きを持ちます。

したがって、酪酸菌は大腸がんを防ぐ方向に働く菌なのです。
このような働きは「酪酸パラドックス(良い二面性)」とも呼ばれます。

6. 予防につながる生活習慣

・朝起きたらすぐ歯磨きをする
 → 口の中のフソバクテリウムを減らすため。

・歯周病予防・プラーク除去を心がける
 → 口腔内の菌を整えることで大腸がんリスクも下げられる。

・レジスタントスターチを食べる(冷やご飯、冷たいじゃがいもなど)
 → 酪酸菌のエサになり、善玉菌が増える。

🔍 結論

酪酸菌は腸の健康を守る大切な味方です。
SNSなどの切り取られた情報に惑わされず、正しい知識で体を守りましょう。

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