最近、
「酪酸菌が大腸がんの原因になる」
という話がSNSなどで広まっています。
しかし、これはまったくの誤情報です。
酪酸菌は腸の中にいる
「善玉菌」の一種で、
短鎖脂肪酸のひとつである
「酪酸」を作り出す善玉菌です。
酪酸には以下のような
働きがあります。
●大腸の細胞の
エネルギー源になる
●腸の動きを助けて便秘を防ぐ
●がん細胞の増殖を抑える
(アポトーシスを促す)
つまり、
酪酸菌は腸を健康に
保つ良い菌です。
3. 誤解のもとになった菌
「フソバクテリウム・ヌクレアタム」
「酪酸菌ががんの原因」と
誤解されたのは、
フソバクテリウム・ヌクレアタム
(Fusobacterium nucleatum)
という菌の存在が関係しています。
この菌は口の中にいる
歯周病菌の一種で、
唾液などと一緒に腸に
届くことがあります。
そして、
この菌が大腸がんの発生や
進行に関係していることは
科学的に確認されています。
ただし重要なのは、
このフソバクテリウムは
「確かに酪酸を作る性質を持っている」
が善玉菌ではない
「酪酸を作る=酪酸菌=がんの原因」
という誤った結びつけが
広まってしまったということです。
4. フソバクテリウムが
大腸がんに関わる理由
フソバクテリウムが
大腸がんに関与するのは、
酪酸ではなく次の3つの
メカニズムによります。
①大腸の細胞にくっついて
遺伝子の働きを乱す
→ 細胞ががん化しやすくなる。
②免疫の働きを弱める
→ がん細胞が免疫から
逃れやすくなる。
③腸内に炎症を
起こしやすくする
→ 長引く炎症が
がん発生の原因になる。
つまり、
「酪酸を作るから」ではなく、
「菌の性質そのもの」が
問題なのです。
酪酸菌が作る「酪酸」は、
●腸の粘膜を修復
●便秘を改善
●がん細胞の増殖を抑制
といった働きを持ちます。
したがって、
酪酸菌は大腸がんを
防ぐ方向に働く菌なのです。
このような働きは
「酪酸パラドックス(良い二面性)」
とも呼ばれます。
●朝起きたらすぐ歯磨きをする
→ 口の中のフソバクテリウムを
減らすため。
●歯周病予防・プラーク除去を
心がける
→ 口腔内の菌を整えることで
大腸がんリスクも下げられる。
●レジスタントスターチを食べる
(冷やご飯、冷たいじゃがいもなど)
→ 酪酸菌のエサになり、
善玉菌が増える。
酪酸菌は腸の健康を
守る大切な味方です。
SNSなどの切り取られた
情報に惑わされず、
正しい知識で体を守りましょう。